vol.236 冬を楽しむ
真冬の凌雲閣
一日中、ほとんど太陽が姿を見せなかった寒い冬の日。
JR上富良野駅から車で40分程の距離にある、十勝岳温泉郷、凌雲閣の温泉に出かけます。
良く晴れた日には、この辺りから雄大な十勝岳連峰の姿を見ることができますが、今日は分厚い雲に覆われています。
十勝岳温泉まで13キロの表示を過ぎました。
さらに車を走らせます。
十勝岳温泉まであと10キロ。
道沿いの木々は雪に覆われて真っ白です。
カーブの続く山道を登っていきます。
辺りの積雪が多くなってきました。
時刻は午後三時半ですが、対向車の多くは車のライトをつけて走っています。
ますます積雪が増えてきました。
白金温泉との分岐が見えていました。
温泉宿、「富良野 思惟林(しゆうりん)」や「カミホロ荘」を過ぎ、さらに登っていきます。
道幅も狭くなり、傾斜もきつくなってきました。
吹き付ける雪で視界も悪くなってきました。
辺り一面真っ白な世界です。
どんどん雪深くなっていきます。
車の温度計を見ると外の気温は-14℃。車内も冷え込んできました。
最後のきつい登り坂を超えて、標高1280mの凌雲閣に到着しました。
十勝岳への登山口が、どこにあるのか分からないほど、雪が積もっています。
秋に訪れた時と比べると、バス停の看板が埋もれるくらいの積雪があるのが分かります。
視界は吹雪で遮られ、数m先が見えないくらいです。
吹き付ける風は強く、頬に当たると痛いほどの冷たさです。
数分、外を歩いただけで、体の芯まで冷えてきました。
真冬も営業をされている凌雲閣の温泉に入り、温まりたいと思います。
凌雲閣の温泉は、北海道で一番標高の高い所にある、源泉かけ流しの温泉で、露天風呂からは十勝岳連峰の雄大な山並みを眺めることができます。
また、温度の低い透明な温泉と、高温で茶褐色の2種類の温泉が楽しめます。
ゆっくり温泉につかり、体の芯からあたたまりました。
午後5時。
凌雲閣を出る頃には、辺りは真っ暗になっていました。
お風呂上りの体は、ポカポカしていて、すっかり疲れがとれました。
真冬の寒さが続く中、身も心もあたたまる温泉タイムは、最高の贅沢です。
スノーシューで散策
真冬のある1日。
雪の積もった林の中を、スノーシューを履いて散策です。
スノーシューは、「西洋かんじき」とも呼ばれる、雪の上を歩くための道具です。
雪の感触を楽しみながら、一歩一歩進みます。
雪を踏みしめる音が心地よいです。
白い雪面には、エゾユキウサギでしょうか、
動物の足跡が残っています。
青い空に向かって、ヤマナラシが枝を伸ばしています。
ヤマナラシの林を歩いていると、
ひと房のヤマブドウが落ちていました。
秋に実を付けたそのままの姿で、雪に覆われています。
大きなミズナラの木に近づいてみると、
キツツキがつついた跡がたくさんありました。
まだまだ枯れずに元気に根を張っている大木です。
春には葉を茂らせ、またどんな姿を見せてくれるのか、楽しみです。
立ち枯れたオオウバユリにも白い雪が積もっています。
冬の林の中は静寂の空気に包まれています。
その静けさがとても心地よく、リフレッシュできるひと時を過ごせました。
冬の朝
真冬の朝。
時刻は7時前
夜明け前の西の空には、まだ大きな月が浮かんでいます。
JR中富良野駅の背後に位置する北星山の山頂へ向かいました。
東の空が少しづつ明るくなってきました。
十勝岳連峰の山頂にかかる薄い雲が、光に照らされてほんのりピンク色に染まっています。
グッと冷え込んだ今朝の気温はマイナス20℃
空に雲のない朝は、放射冷却で気温が下がり、今日のように厳しい冷え込みになることがあります。
今朝の北星山山頂からは、久しぶりに十勝岳連峰の美しい山並みを見ることが出来ます。
南の方向を見ると、富良野西岳や芦別岳もきれいに見えています。
山を覆う白い雪が、朝日に照らされ輝き始めました。
7時20分
東の空が一層明るくなり、
輝かしい朝日が昇ってきました。
朝日が昇るにつれて、南の方向、富良野市の上空を漂う白い霧が濃くなりました。
中富良野町の街も白い霧に覆われていきます。
その白い霧は、中富良野の町の東側、富良野盆地を流れる富良野川や
ヌッカクシ富良野川から立ちのぼっている川霧のようです。
立ち昇る霧が太陽の光に照らされて、神々しく輝きます。
白い霧はゆっくりと
目の前の風景を覆っていきます。
朝日に照らされた川霧に包まれる風景は、とても幻想的です。
厳しい冬の寒さの中でしか見ることの出来ない、神々しい瞬間。
心に残る景色との出会いは、寒い冬の贈り物のようです。
日が登り、青い空が広がってきました。
良いお天気になりそうです。
今日は、冬を楽しむ物語をお届けしました。