vol.103.十勝岳登山~安政火口コース~
JR上富良野駅から車で30分程。
標高1200mの十勝岳温泉は、十勝岳や富良野岳の登山口にもなっています。
お天気に恵まれた7月中旬のこの日も、多くの登山客で駐車場はいっぱいでした。
今日はここから約1時間の距離にある、
標高1400m付近の安政火口(あんせいかこう)まで登山道を歩いてみようと思います。
登山道を歩くとすぐに、目の前に上ホロカメットク山(やま)、左手には三段山がきれいに見えてきました。
冬場の山スキーのメッカとして有名な三段山。
標高1748mの山頂からは、十勝岳や上ホロカメットク山の素晴らしい眺めが望めるそうです。
正面に見える、上ホロカメットク山は標高1920m。
切り立った岩がそびえる猛々しい姿の山です。
小さな石が転がる登山道をゆっくりと登っていきます。
山の緑のグラデーションが美しく輝いています。
振り返ると、遠くに富良野盆地が見えてきました。
美しい景色に疲れも吹き飛びます。
草むらの中で何かが動く気配がありました。
とても愛らしい姿のシマリスです。
思わぬうれしい出会いに、しばし足を止めました。
足元には、黄色の花が鮮やかな、ミヤマアキノキリンソウ、
可憐な白い花をつけているゴゼンタチバナ、
赤い実を付けることからその名が付いた、アカモノ、
青い色の花が涼し気な、ミヤマリンドウなどの高山植物を見つけました。
岩場を好んで生える、エゾノマルバシモツケは花盛りです。
可憐な花々の姿を見かけると、山道を歩く足取りも軽くなります。
安政火口を目指して、もくもくと歩きます。
自分の足音と吐く息が普段より大きく聞こえてきます。
歩みを進めるごとに、頭や心の中が空っぽになっていくようで、心地よいです。
安政火口に近づいてきました。
近くには、活火山である十勝岳を観測するカメラが設置されています。
富良野岳との分岐を過ぎて安政火口を目指します。
ゴロゴロと転がる岩を避けて、
進みやすい道を選んで登っていきます。
硫黄の匂いがきつくなってきました。
安政火口は、今から約160年ほど前、江戸時代の安政年間に噴火したといわれる火口です。
白い煙が立ち上り、硫黄の匂いが立ち込めています。
近寄りがたい、畏怖の念を抱きました。
山々に手を合わせ、来た道を戻ります。
眼下に広がる上富良野の街と富良野盆地の田園風景を見下ろしながら、山を下ります。
下りは、登りよりも短い時間で下山できました。
ゆっくりと歩いて、往復2時間ほどで登山口に戻ってきました。
登山口までは車でアクセスでき、よく整備された登山道に入るとすぐに雄大な山並みが楽しめる、登山コース。
下山後は、すぐ近くの十勝岳温泉に入り、汗を流し、疲れを癒す登山客の方も多いようです。
今日は、雄大な自然を肌で感じる、安政火口への登山をご紹介しました。