vol.26.富良野 夕暮れと十三夜月
3月の中旬の中旬、北海道富良野の冬も終わりに近づき、雪どけのスピードが速くなってきました。
日当たりの良い林では、木の根の周りから雪どけが始まっています。
これは根開き(ねあき・ねびらき)と呼ばれる現象で、雪の多い富良野地方の春の訪れを感じる景色の一つです。
太陽が西の空に沈みかけた頃、JR中富良野駅の背後に位置する北星山の山頂から、春を待つ大地を眺めています。
澄み切った青空と十勝岳連邦から市街の街並みまで一枚の絵のように美しい景色です。
冬の間雪に覆われていた田畑も、雪がとけて黒い土が見え始めています。
農業の盛んな中富良野町の田畑では、農作業の準備が進んでいるようです。
大地の実りをいただく準備です。
日が傾き、十勝岳連峰の上には十三夜月が見えてきました。
十三夜月は、新月から数えて13日目の月。
古来、満月に次いで美しい月を言われていたようです。
これから少しずつその姿をはっきりと見せてくれるでしょう。
十勝岳連邦がほんのりと色づいています。
空の青さと山際の淡いピンク色が、十勝岳連邦の山並みをより一層美しく際立たせます。
北星山のカラマツ林の向こうに、ゆっくりと日が落ちていきます。
カラマツ林の間から、その美しい光が差し込みます。
今日一日に感謝しながら、その姿を見送ります。
小さくてかわいい松ぼっくりを付けたカラマツの枝に、シジュウカラがとまっています。
松ぼっくりの中にある種をついばみにきたのでしょう。
シジュウカラも間もなく、ねぐらに帰っていくのでしょう。
日が沈み、あたりが暗くなってきました。
空気も冷たくなってきました。
カラマツ林を抜け、振り返ってみると、先ほどより、月が大きく見えました。
3日後には満月を迎え、同時に二十四節気の春分の日を迎えます。
日に日に春へと向かっている喜びと、長かった冬の終わりの一抹の寂しさ。
そんな思いを胸に家路に向かいます。