vol.51.富良野 木々の芽吹き
4月も終わりに近づき、植物たちがいきいきと輝く季節を迎えた北海道富良野市。
カタクリの可憐な花や、
可愛らしいつくしの姿を見かけるようになりました。
木々の新芽も顔を出し始めました。
河川敷や林などでよく目にするヤナギの木。
寒さが少し緩み始めた、3月の初め頃から小さな芽を膨らませます。
じっと寒さに耐えながら、成長を続ける健気な姿です。
そして、春の陽気を感じる4月中頃には黄色い小さな花を咲かせます。
まるで、ヤナギの芽から春の到来の歓びが弾けているようです。
4月の末になると、ヤナギの枝から、若葉が顔を出し始めました。
たくましい生命力を感じます。
黄色い小さな花、そして淡い緑色の若葉の色で、あふれます。
うぐいす餅を思い起こす色合いに、春らしさを引き立てます。
小さな赤い葉を枝にたくさん付けているのは、カツラです。
木々の葉の少ないこの時期は、カツラの葉の赤色が、森のなかで目を引きます。葉が茂る頃には緑色に、そして秋には黄色に色づき、四季折々の変化を楽しめます。
枝に、小さなかわいい若葉をたくさん付けているのは、カラマツです。
カラマツは、北海道内の森や林に多く植えられている、落葉針葉樹です。
この小さい若葉が、これからどんどん、針のような葉を伸ばし、茂らせていきます。
秋にはその葉が黄色に色づきます。
そして雪が降り始める冬の初め、全ての葉を落とし、長い冬を迎えます。
そしてまた春に新しい葉を芽吹かせるのです。
多くの枝に若葉を付けたカラマツに、シマエナガがとまっています。
しばし、羽を休めているようです。
近づいてよく見ると、所々にカラマツの花が咲いています。
卵形で先が黄色、下向きに付いているのがカラマツの雄花です。
先が淡いピンク色で、上向きに付いているのが、カラマツの雌花。
雄花と雌花が同じ木に咲いています。
雄花の花粉と受粉した雌花が、松ぼっくりに育っていきます。
こうしてカラマツの花を見ていると、子孫を残すために、色や形や仕組み、全てが理に適っているように思えます。
自然界の営みの精巧さと美しさに感動を覚えます。
それぞれの持って生まれた性質や特徴には、大切な意味があります。
生を受けたものには、無駄なものや不要なものなどないのでしょう。
全てのものが大切な唯一無二の存在。
自分自身にも丸をもらえているような気持ちになります。
前の年に付けた松ぼっくりもまだ枝に残っていました。
春のカラマツの枝の上では、親や子や兄弟が一堂に会したような、にぎやかさです。
微笑ましい姿に見えます。
木々の芽吹きを見ながら、また一つ季節が進んだことを実感しました。
これから富良野は、鮮やかな新緑の季節を迎えます。