vol.19白い霧に包まれた富良野
北海道のほぼ中央に位置する富良野市。
東側は十勝岳連峰、西側は夕張山地など、山に囲まれた盆地地形の富良野市は、朝方に霧が発生することがあります。
2月下旬の朝。
この日は、富良野盆地がすっぽりと白いベールで覆われたような朝でした。
富良野駅から2㎞ほどの距離にある、富良野川にかかるシャトーふらの橋。
ワイン工場に向かう道の途中にあります。
普段は、ここから清水山やワイン工場、ワインハウスなどが見えるのですが、今日は霧で全く見えません。
東側を眺めてみます。
いつもは、JR富良野線の鉄橋や立ち並ぶ家々の屋根が見えるのですが、今は富良野川沿いの木々の輪郭がうっすら見えるだけで、真っ白い霧に覆われています。
橋の西側に目をやると、数メートル先の川の流れは確認できますが、その先は真っ白です。
シャトーふらの橋を渡り、富良野川の川岸に立って、眺めてみることにしました。
白いベールの上から太陽の光がやわらかく降り注ぎ、真っ白い霧氷に覆われた木々を優しく照らします。
霧がまるで生きてるかのように、刻一刻と姿を変えていくので、つい見入ってしまいます。
やわらかい白い光が川沿いの景色を幻想的な景色に変えています。
白い景色に包まれていると、いったい自分がどこにいるのか分からなくなるような、不思議な気持ちになります。
遠くで踏切の音、そして列車が近づいてくる音が聞こえてきます。
列車の走る音はどんどん大きくなり、やがて遠ざかっていきました。
音のする方に目を凝らしても、列車の走る様子は見えません。
15分程経ちました。
霧が少しずつ晴れてきて、あたりの景色の輪郭が見えてきました。
先ほどまでは立ち込める霧で、鉄橋を渡る列車の姿も見えませんでしたが、
そう離れていないところにある鉄橋がうっすらと見えてきました。
徐々に川岸の白い木々やJR富良野線の鉄橋が先ほどより、くっきり見えてきました。
真っ白だった空にも、青空が増えてきました。
霧の上から山並みも顔を出し始めました。
霧が晴れ、あたりの景色がハッキリと見えてきました。
雲間から太陽の姿も見え隠れしています。
今日は白い霧に包まれた幻想的な景色の中で、自然の神秘を感じ、厳かな気持ちになりました。