vol.6 富良野冬のラベンダー
北海道富良野と聞くと、紫色の絨毯を敷き詰めたような、ラベンダーの花畑を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。
富良野のラベンダーは、6月中旬頃から咲き始め、7月には見頃になります。
ラベンダーの香りと綺麗な紫色は、夏の訪れを知らせてくれます。
実はこのラベンダーは草花ではなく、木の仲間に属しています。ラベンダーをよく見ると、一株ずつの低木に花が咲いています。
大切に手入れをされた株は、そのまま雪に覆われて、長い冬にじっと耐え、春を待ちます。
雪に覆われた冬の間は、もちろんラベンダーの姿を見ることはできません。
でも、ラベンダーの花畑で有名な、中富良野町の「ファーム富田」さんでは、
冬の間も紫色の花を咲かせたラベンダーを見ることが出来るそうです。
今日は、白一色の世界の中に綺麗な紫のラベンダーを探しに、「ファーム富田」さんを歩いてみました。
立春の頃、暦の上では春ですが、一面の銀世界。
シーンと静かな世界が広がっています。
花々に彩られた夏の景色とは全く違う世界です。
入口では、凛々しい表情の大きな雪だるまが、出迎えてくれています。
「お寒い中、ようこそお越しくださいました。どうぞごゆっくりお楽しみください」と優しい声が聞こえてきそうです。
きれいに除雪されて、真っ直ぐ続くポプラ並木をゆっくり歩いていきます。
頬に感じる冷たい空気が、気持ちの引き締る心地よい風に感じます。
ラベンダーの花を見つけました。
ここは、ほんのり暖かい温室の中です。
淡い紫色に色づいたラベンダーと暖かさで、厳しい寒さを忘れてしまいます。
そして春の訪れがいっそう、待ち遠しくもなります。
ラベンダーが咲き始める初夏、6月頃の富良野の平均気温は20℃前後。
心地よい風が吹き、もっとも過ごしやすい季節です。北海道の爽やかな夏の始まりです。
長い冬を越えて訪れる春や夏の美しさ、恵みは格別です。
温室に咲くラベンダーを見つけた後、カフェやラベンダーグッズのお店、ファーム富田の創設者「富田忠雄氏の記念室」の併設された「花人の舎(はなびとのいえ)」に立ち寄りました。
氷点下の寒さの中を歩いて冷えた体を、コーヒーで温めます。
ゆっくりと静かな時が流れます。
心も体も温まりました。
楽しい冬のラベンダー観光でした。